はじめに
銀閣寺と称される東山慈照寺、修学旅行でも金閣寺と同じく多くの方が訪れる名所です。京都には多くのお寺があり、金閣寺、銀閣寺、清水寺と有名どころを押さえる観光をする方が多いのではないでしょうか?もちろん名所を巡る観光も楽しいのですが、大人になってからの旅行では風情溢れる、隠れた穴場も訪れてみてはいかがでしょうか?
皆さんが想像している、静かなひっそりとし、人も少ないお寺は有名なお寺の間に隠れています。
法然院
法然院は、銀閣寺から徒歩10分ほど、哲学の道を歩き一本上へ登った道に位置しています。法然というお坊さんはご存知でしょうか?おそらく聞いたことはあるでしょう「南無阿弥陀仏」を広めたお坊さんです。鎌倉時代のお坊さんで、当時の仏教は修行をして徳を積むことで救われるという考えが主流でした。そして、修行をしていない一般の人がどうやって徳をつむかというと、お寺に布施(お金)を収めることで徳をつめました。なので、貴族やお金持ちだけ救われるという仏教だったのです。
その考え方はダメだと思った法然は、貧しくても「南無阿弥陀仏」(私は阿弥陀様を信じます)と唱えることで、救われますよという大衆的な仏教「浄土宗」を開き広めました。
法然院は、その法然上人がかつて修行をしていたお寺です。
茅葺屋根
法然院へは階段を上って門へ向かいます。現世と来世を隔てるように、階段を上ると木に囲まれ別世界に来たような感覚になります。
そのまま奥へ進むと、茅葺屋根の門が見えてきます。実は、この法然院は有名なJR東海のキャッチコピー「そうだ、京都行こう」を思いついた場所だと言われています。この秘境の京都を見た時にビビッときたらしいです。
白砂壇(びゃくさだん)
門をくぐり中に入ると、まず目につくのは砂でできた白砂壇です。白砂壇は、砂で水を表現しており、両サイドの白砂壇の間を通ることで、心と身体を清める役割があります。また、この白砂壇の特徴は、季節ごとに違った模様が見られることです。
善気水(ぜんきすい)
法然院には善気水という水が湧き出ています。法然院は法然が修行をしていた時はまだお寺ではありませんでした。法然が亡くなった後、江戸時代になり忍徴上人という法然を慕うお坊さんが、かつて法然が修行をしていたこの地を訪れると、なんとその場所はすっかり荒れ果ててしまっていました。
忍徴上人は落胆し、持っていた杖を「ドンッ」と地面につきました。すると、その場所から水が湧き出てきたのです。これは、この場所を綺麗してお寺を造りなさいと言われていると感じ。造られたお寺が法然院です。
庭には水鉢もあり、いつも季節ごとのお花が添えられています。
さらに、一緒に巡りたい周辺のお寺
安楽時(あんらくじ)
法然院から南へ少し歩くと、安楽寺というお寺が見えてきます。このお寺は紅葉が有名で、真っ赤に燃える秋には、るるぶの表紙を飾ったこともあるほど綺麗な風景を見せてくれます。安楽寺は、法然の弟子であった、住蓮(じゅうれん)と安楽(あんらく)の死を弔うために建てられたお寺です。
霊鑑寺(れいかんじ)
霊鑑寺は、後水尾天皇が娘のためにプレゼントしたお寺です。別名「椿寺」と呼ばれている程、椿が有名でなんと、椿がきれいな春の10日間と、紅葉がきれいな秋の10日間しか一般開放していないお寺です。代々女性が住職をしており、やはり女性のお寺、すっぴんは見せないわよと言わんばかりに、お化粧した綺麗な20日間だけ中を見せてくれます。タイミングよく、その時に訪れると、間違いなく感動する美しい風景に巡り合えるでしょう。